宝塚歌劇のチケット価格予想

ネットオークション(ヤフオク)データに基づく回帰分析

2009219

2008年度卒業論文のために集めたデータを元に、価格の予想をしてみました。

その結果千秋楽のSS席は4万円に!?

エリザベートは2009年再演されるので、今度の人気はどうなるのか?

 

 

はじめに

宝塚歌劇2007年の雪組東京公演「エリザベート」のデータを元に、ネットオークションでの価格予想をしてみました。単に価格を予想するだけでなく、人気という目に見えないものをチケットのオークション落札価格をつかって、数値化する試みでもあります。方法は、統計学を勉強すれば必ず使うといっていい、とてもポピュラーな方法である回帰分析という方法を使っています。

「エリザベート」という演目は、宝塚歌劇の中でも人気があり、これまでに何度も再演されてきました。人気が高いので、この雪組公演も公演開始前にチケットはすべての日程、座席が売り切れでした。そこで、どうしても見たい人は、非公式のルート、つまりネットオークションやら、チケット流通センターやらで、手に入れるしかない。このようなとき、人はいくらまでチケットが高くても手に入れようとするものでしょうか。正規の価格で最も多いS席は八千円と決まってみいますが、オークションでは定価どうりになるとは限りません。手に入れたい、ともう人が多ければ多いほど価格は高騰します。

 2009年にも、今度は月組が「エリザベート」を上演します。再びチケットは売り切れることが予想されます。この雪組のときのデータは、多少参考になるでしょう。また、この方法を使えばファンなら誰しも気になるトップスターの人気【組ごとにどこが一番人気か?】という疑問にも数字は正直に答えてくれるでしょう。統計学を学んだことのない人には、分析方法のところは難しいと思います。結果だけでも見てください。

 

分析方法

 回帰分析という方法を用います。この方法でチケットの価格がオークションでどのような場合に高くなるのか、安くなるのかを、条件をいろいろ変えて調べることができます。例えば、公演の初日と千秋楽(公演期間最後の日の公演)は、ファンの間で人気が高いことが知られています。公式には初日・千秋楽も他の公演と同じ価格ですが、多少高くても見たいという人が多いので、オークションでは価格が高騰することが予想されます。それ以外にも、座席ランクは前からSS席、S席、A席、B席と順に決まっており、SS席はステージに近いものの、数が少ないためなかなか手に入らないものです。回帰分析を使えば複数の条件を同時に設定することができるので、千秋楽のSS席とそれ以外のSS席では千秋楽の方が高いだろう、ということは簡単に予想できますが、千秋楽のA席とそれ以外のSS席ではどちらが高いのか、ということまで知ることができます。

ここで知りたいのはオークションの落札価格なのですが、計算するにあたっては、プレミア価格というのを計算して求めました。なぜオークションの落札価格そのままでは、だめかというと、まずチケットが2枚分の価格である場合もあるので、1枚あたりの価格を計算する必要があるからです。さらに、チケットそのもの(実券)をオークションで出品するのではなく、チケットを購入する権利(以下、「権利」とする。コンビニなどで発券できる番号を取引するもの。チケット代金が別に必要)を出品する場合もあります。チケットの権利を売買する場合、一見安く見えるのですが、落札した人は、結局後で発券する時にチケット代金が必要になります。プレミア価格は、実券と権利のチケット代の差額が出ないように、落札価格からチケットの定価をひいて求めています。

【例1】実券の場合=こちらが多い

落札価格が1万円で、S席の場合、10,000-8,0002,000 プレミア価格は2千円

【例2】権利の場合

落札価格がそのまま、プレミア価格になる。

このようなわけで被説明変数(従属変数ともいう)はプレミア価格を使います。

 

回帰分析では、被説明変数を決める要素を、説明変数といいます。チケットの価格に影響するであろう要素はたくさん考えられます。例えば、公演が土日のほうが、平日より行きたい人が多いので、高くなるだろうとか、先に上げた初日や千秋楽は見たい人が多いので、高くなるだろうとか。SS席はS席より人気があるだろうとか。本当にそうなのかを、実際のオークションで落札された価格を、統計的に検証してみましょう。

雪組「エリザベート」では、以下で説明する5つの要素がプレミア価格に統計的に影響を与えていることが計算の結果分かりました。「統計的に」の意味は、常にそうなるわけではなくても、100回のうち95回以上おこるのであれば、統計的に有意(意味がある)と考える、ということです。公演日が土日祝日の場合、平日と比べると、有意確率が0.038ですので、100回中3回は異なる結果、つまり平日の方が高いこともあるけれど、97回は土日祝日の方が高い、ということです。3回ぐらい間違えても、97回もあっているならこれには意味があるぞ!と考えます。公演日以外に、公演が千秋楽であること、チケットの画像がオークションの出品時に載せてあること、座席がSS席であること、座席が2階席であることが有意です。座席は、SSからB席までありますが、一番席の多いS席を基準にしています。SSS,A席は1階席と2階席があり、どちらも定価は同じですが、2階席の方が有意に安いという結果になりました。ただし、2009年から1A席は廃止、2SS席も廃止されています。またチケット価格も変更になっています。

【回帰分析の結果】

R二乗(決定係数ともいう)=0.491

調整済みR二乗=0.463

これは、この値は、0から1の間になります。1に近いほど説明力が高いのですが、46%というのもかなり説明できている方になります。

 

以下の説明変数として8種類と定数項の係数を表にして載せました。計算上、有意ではなかった【統計的には意味がなかった】A席、B,席、BB席(B席の一番後ろ)ものせています。もともとの定価はSS10,000円、S8,000円、A5,500円、B3,500円、BB2,500円です(2009年からは変更になっているので、データは雪組公演時の価格)

定価には幅あるものの、ネットオークションでは、A席、B席、BB席の差はありませんでした。SS席だけが、ここで基準としているS席よりも、9,891円高い、ということがわかります(表の非標準化係数B9891.637であることから)。また、2階席は-7,079円、つまり1階席より7千円ほど安いことがわかります。

統計上意味がなかった、ということもひとつの発見です。ヤフオクにおいては座席ランクがS席のほうがA席やB席より常に高いとはいえない、ということが分かりました。

 

                                    表 回帰分析の結果分かった係数

 

非標準化係数

t

有意確率

 説明変数

B

標準誤差

 

 

(定数)

8662.015

2452.463

3.532

.001

公演日土日祝フラグ

2429.640

1159.887

2.095

.038

千秋楽フラグ

7298.481

1705.087

4.280

.000

画像フラグ

3905.774

1099.930

3.551

.001

SSフラグ

9891.637

2480.453

3.988

.000

Aフラグ

-1049.040

2354.596

-.446

.657

Bフラグ

-3430.215

2905.769

-1.180

.240

BBフラグ

4668.184

4789.161

.975

.331

2階席フラグ

-7079.646

1789.595

-3.956

.000

a  従属変数(=被説明変数): プレミア価格

 

この係数の表を式で表すと次のようになります。

プレミア価格(Y)=公演日土日フラグ(X1+千秋楽フラグ(X2)+画像フラグ(X3)+SS席フラグ(X4)+A席フラグ(X5+B席フラグ(X6+BB席フラグ(X7+2階席フラグ(X8)+定数

数字をあてはめると、

 

Y = 2,430 * X+7,298 * X+3,906 * X+9,892 * X4 (- 1,049 * X5-3,430 * X6 4,668 X7) -7,080 * X88,662

 

このうち A席フラグ、B席フラグ、BB席フラグは実際には有意ではないので、予想するときには使いません。(有意確率が0.05より小さいものを有意である、と考えます。これは5%水準と呼ばれ、よく使われる基準です)価格に最も影響を与えてるのは、X4SS席フラグで係数が9,892ということは、9,892円つまり約1万円はS席より高いことを意味します。もともとのS席とSS席の差額は2千円ですが、オークションではずっと差額が大きいことになります。次がX2の千秋楽フラグで7,298ですから、千秋楽は7300円ぐらい高く、同様に、公演日が土日祝日だと約2500円高く、席が2階席だと、7000円ぐらい安い、ということになります。

ここで、フラグ、というのは、0か1かの値をとる変数のことです。もし、公演が千秋楽なら、千秋楽フラグには1、それ以外の公演なら0が入ります。

先ほどの式のX1からX8に、このフラグ(0か1)を代入することで、予想価格を計算で求めることができます。その結果をまとめたのは次の表になります。

 

分析結果のまとめ

公演の曜日、千秋楽など条件を変えて予想した価格は下の表の通りです。

表2 予想価格の結果

 

公演日が土日祝か

千秋楽かどうか

画像

有無

座席ランク

プレミア価格の予測

定価

予想される価格
(プレミア価格+定価)

1

土日祝

千秋楽

画あり

SS

1階

\32,185

10,000

\42,185 @

2

土日祝

千秋楽

画あり

SS

2階

\25,106

10,000

\35,106

3

土日祝

千秋楽

画あり

S

1階

\22,294

8,000

\30,294

4

土日祝

千秋楽

画あり

S

2階

\15,215

8,000

\23,215

5

土日祝

千秋楽

なし

SS

1階

\28,280

10,000

\38,280

6

土日祝

千秋楽

なし

SS

2階

\21,201

10,000

\31,201

7

土日祝

千秋楽

なし

S

1階

\18,389

8,000

\26,389

8

土日祝

千秋楽

なし

S

2階

\11,310

8,000

\19,310

9

土日祝

0

画あり

SS

1階

\24,887

10,000

\34,887

10

土日祝

0

画あり

SS

2階

\17,808

10,000

\27,808

11

土日祝

0

画あり

S

1階

\14,996

8,000

\22,996

12

土日祝

0

画あり

S

2階

\7,917

8,000

\15,917

13

土日祝

0

なし

SS

1階

\20,982

10,000

\30,982

14

土日祝

0

なし

SS

2階

\13,903

10,000

\23,903

15

土日祝

0

なし

S

1階

\11,091

8,000

\19,091

16

土日祝

0

なし

S

2階

\4,012

8,000

\12,012

17

平日

0

画あり

SS

1階

\22,458

10,000

\32,458

18

平日

0

画あり

SS

2階

\15,379

10,000

\25,379

19

平日

0

画あり

S

1階

\12,567

8,000

\20,567 A

20

平日

0

画あり

S

2階

\5,488

8,000

\13,488

21

平日

0

なし

SS

1階

\18,553

10,000

\28,553

22

平日

0

なし

SS

2階

\11,474

10,000

\21,474

23

平日

0

なし

S

1階

\8,662

8,000

\16,662

24

平日

0

なし

S

2階

\1,583

8,000

\9,583

 

この表から、予想される価格は、千秋楽かつ日曜日公演で、SS席の1階の場合プレミア価格が\32,185なので、定価1万円を足して\42,185(表の@)となります。千秋楽公演でも2SS席なら\35,106です。

平日のS席であれば、1階ならば\20,567(表のA)【画像なしの場合\16,662】、2階席ならば\13,488【画像なしの場合\9,583】です。画像が載っているかどうかで3905円も差がある、というのが驚きですが、チケットが手元にあるという証明なので、落札する人に安心感を与えるのでしょうか。逆に安く買いたい人には、画像がないものを狙う、という方法も考えられます。

1階と2階で7千円の差、というのもいかに1階席で見たい人が多いかの表れでしょう。2009年から2SS席が廃止されたのは、それだけ2階席の人気がなかったせいでもあると考えられます。

ここでの予想はあくまで、2007年のときのデータを元にしていますので、月組の2009年の予想にはそのままは使えませんが、参考にしてください。

分析の結果分かったことは、価格に影響する、と思われていたのに、実際は影響しなかったという点も重要です。S席とSS席では明らかに差が出ましたが、A,B,BB席とS席の差はありませんでした。他にも、権利の売買か実券かでも差は出ませんでした。複数枚一度に出品する場合(座席が連番になっている)とそれ以外にも差はありませんでした。2回公演の2回目というのも特に1回目と差がありませんでした。公演に関するもの以外にも、オークションの終了日は土日の夜のほうが価格が高くなる、というオークションに関するマニュアル本には書かれていますが、宝塚のチケットに関してはそのようなことはありません。また、出品者の評価と落札価格の間にも関係はありませんでした。

なぜS席とA席他に差が出なかったのかについては、次のように説明することができるでしょう。S席とA席には2500円の差がありましたが、実際の劇場内では、ひとつ後ろの席からはA席の場合、あまり人気がなく、S席であってもA席に近い価格でないと落札されないことがあります。逆にA席の中での最前列の場合、S席に近い価格になることもあります。ネットオークションの場合、座席の位置が落札しようとする人にあらかじめ示されているので、あえてS席の一番後ろを買うのであれば、A席の一番前にしよう、というような判断が働くためと考えられます。

 

今後の課題

今回の分析では足りなかった点について補足します。

【調査時期】

この分析用いているデータは、2007612日時点でYahooオークションで次のカテゴリー(チケット・金券、興行チケット、パフォーミングアート、演劇、関東)に出品されていたもので、その後2週間以内に落札された157件。ただし、新人公演は定価も異なるので除いています。

エリザベートの東京公演は200776日から812日でした。この調査期間は公演開始1ヶ月ぐらい前のデータとなります。実際は、この調査期間以外の取引では値段は変わってくるでしょう。公演直前になると値下がりするとか、一般前売り発売時期が最も高いとかいわれています。今後、今回の分析でできなかったオークションの開催時期によって価格がどう変化するか、という研究もできるでしょう。

【座席の位置】

今回は、1階席2階席とSSからBまでの座席ランクしか分析していませんが、実際には1階席の1列目でも端の方はS席ですし、2階席のS席でも公式には値段は同じです。オークションでは、詳しく座席の位置を選んで買うことができるので、何列目までは人気があるのか、ということも分析に織り込むことも可能です。これもデータを集めるのが大変ではありますが、今後分析をしようとすればできるので、気力と体力のある人はぜひ!

【サヨナラ公演・その他の公演】

宝塚のトップスターの退団する公演は、それ以外の公演と大きく異なります。特に千秋楽には(主演男役の場合は前楽にも)サヨナラショーがあり、チケット価格は定価の50倍以上になることもあります。またネットオークションでは偽者チケットが出回り、問題になりました。今回の分析はサヨナラ公演には使えません。

そして、エリザベートのように再演されて人気が定着している公演ではない場合、価格の予想は大きく異なってくると考えられます。今年の卒業論文でも花組「愛と死のアラビア」の分析も行っています(一番後ろに予想結果だけつけました)。こちらは新しいトップスターのお披露目公演で、チケットも売り切れなかったため、エリザベートのときとはかなり違う結果となりました。

 

おわりに

 今回の予想結果は、あくまでエリザベートのような人気のある公演の場合にしか使えないものです。とはいえ、はじめに述べたように、人気を数値化するという試みからいえば、公演ごとに分析をして価格を比べることで、人気を数値化して比べることができます。チケットが売り切れていない場合、劇場やプレイガイドにおいて定価でチケットを買えるわけですから、当然オークションでは定価を割る価格で取引が行われることになります。

とはいえ、今年再演されるエリザベートも売り切れることでしょうから、もし運よく千秋楽のチケットを、しかもSS席を手に入れることができたとしたら、4万円を超える価値がある、ということになります。仮に平日の2S席であっても9500円の価値があるということになります。

ただし、この価格はあくまで枚数が少ないゆえの価格です。普通のファンであれば、せっかく手に入れた千秋楽チケットをオークションで売ったりせず、自分で見に行くでしょう。市場に出回る数が少ないがゆえに高くなるので、チケットを値上げすればいい、というわけではありません。そうはいっても、2階席の人気のなさは、はっきりしているので、1階と2階で同じ価格、というのは劇団も考え直した方がいいでしょう。

 

おまけ

宝塚のチケットは、簡単には手に入らないので有名です。実際には、公式に売り出されるまえに宝塚友の会、という会員に先行発売されます。ここでも会員になれば必ず買えるというわけでもありません。さらには、非公式の個人単位のファンクラブ(通常●●会と呼ばれる)でもチケットの取引が行われます。一公演あたり、東京では2千席ほどある中でどれだけが、チケットぴあやローソンチケットなどの販売にまわっているのかは明らかにされていませんが、実際はプレイガイドの発売にまわされる枚数はかなり少なく、誰でも入手できないからこそ、土日のチケットや、千秋楽は高騰するのです。

さらに、ファン独特の心理として、できる限り前で見たい、という願望があります。一般の演劇であれば舞台に近すぎる席はかえってみにくく、敬遠されることがありますが、宝塚の場合はやはり前の方の席に人気があり、2階席は人気がありません。宝塚のチケットが簡単に手に入らない、という言葉の意味は、2階席ならあっても1階の前の席が手に入らない、という意味がたぶんにこめられています。

非公式のファンクラブによるチケットの売買というのも、独特なものがあります。会員になればチケットが必ず手に入るというわけでもなく、ファンクラブ内の独自の「貢献」によって座席やチケット枚数の配分が決まり、これは「代表」と呼ばれるファンクラブの責任者の気持ち次第というところがあり、非常に不透明です。貢献を何によって測るのかというのもファンクラブによってまちまちです。

公式のファンクラブである宝塚友の会の申し込みも独特で、一般前売りに先駆けて先行販売されるものの、希望者が多いと抽選販売となります。会員数は69000人もいるので、全員に行き渡らないため抽選になるのは仕方がないのですが、会員一人が4公演まで申し込めるものの抽選ですべて外れることもあれば、逆にすべて購入できることもあり、予想外にたくさんチケットを抱えた会員が、あまったチケットを他人に譲ったり売りに出すということも、長い間慣行として行われてきました。当日劇場の前で見られる、サバキもそのひとつです。サバキとは素人のダフ屋のようなものですが、定価売買が原則で、売っている人が一目見てダフ屋のおっちゃんとは違う、普通の人だったりします。現在では、ネットオークションもサバキにかわる手段になっています。

 

宝塚歌劇は今年2009年に95周年を迎えます。戦前から今日まで、長い間続けてこられたのは、当然人気を支えるファンがあったから、よい作品を世に送り出してきたからであり、絶大な人気を持つトップスターがいたからです。そして、独自のチケット販売方法も歴史を支えてきたひとつの要因のでしょう。しかし、今までのチケット販売方法には問題があります。

今日、宝塚歌劇の人気にはかげりが見えます。本拠地である宝塚大劇場の客席稼働率は2006年までは90%台をたもっていましたが、2007年には86%に落ちています。東京は2002年から2007年まで毎年101%と立ち見が出る人気ぶりです[1]。しかし2008年には東京でも売り切れない公演もでてきました。宝塚歌劇の場合、客席稼働率が8割を超えないと黒字にならないといわれています。2009年はすでに経営難の時代に入っているといえるでしょう。

このような中で、劇団もいくつかの改革を行っています。公演期間の短縮や、同じ演目の再演(これまでは基本は新作主義だった)、チケット代金の値上げなどすでにいくつか改定が行われていますが、今後、先にあげた非公式のファンクラブの存在にも今後はメスが入るかもしれません。

今回の分析を通じて分かったことは、チケット代金の決め方にももっと工夫が必要、ということです。2階席はあまり人気がないにもかかわらず、S席は1階から2階までかなりの数を占めています。そしてS席の範囲が余りに広く、選べません。もっと座席割を細かくして、選べるようにしていくことが必要ではないでしょうか。

 

愛と死のアラビアの予想結果

 平日と土日祝日の差はありませんでした。宝塚友の会優先公演のほうがその他の公演より安いことが分かりました。このときの定価はSS1万円、S席八千円ですので、定価われを起こしていることがわかります。

千秋楽

SS1階

20,347

千秋楽

SS2階

15,074

千秋楽

S1階

11,149

千秋楽

S2階

5,877

一般公演

SS1階

17,138

一般公演

SS2階

11,866

一般公演

S1階

7,940

一般公演

S2階

2,668

友の会優先公演

SS1階

13,798

友の会優先公演

SS2階

8,526

友の会優先公演

S1階

4,600

友の会優先公演

S2階

-672

友の会優先公演のS2階がマイナスになっていますが、実際には金額にマイナスはありえないですが。

愛と死のアラビアのときは、権利の売買はなかったので、落札価格そのものを使って分析しました。

それにしても、一番人気のある千秋楽SS席でも2万円と、エリザベートより半額以下です。

調査期間は、200877日から15日の間です。

公演期間が711()817()ですので、公演直前の時期となります。調査時期がエリザベートより遅かったのも価格が安い理由のひとつでしょう。



[1] 参考文献「宝塚歌劇 固定客づくり」『週刊ダイヤモンド』2008823日号、5051ページ。